血液をサラサラにする効果のあるものは健康食品なども含めるとたくさんあります。
今回は「高血圧患者が注意すべきもの~まとめ~」で取り上げた、「抗血栓薬」がなぜ高血圧患者に注意が必要なのか書きたいと思います。
血液をサラサラにする薬(抗血栓薬)とは
血液をサラサラにする薬は、専門的には「抗血栓薬」と呼ばれ、血栓と言う血液の塊が血管内で作られるのを抑える医療用医薬品です。
血液の塊は、心臓や脳や肺などの血管で詰まってしまうことで、心筋梗塞や脳梗塞、肺塞栓症を発症する原因となります。
これらの疾患を発症した場合は命の危険があるため、これらの治療薬はとても重要な役割を持っています。
本題に入りますが、血液をサラサラにする薬が高血圧患者に注意が必要な理由は何でしょうか?
血液をサラサラにする薬は血圧を上昇させることは、ほとんどありません。
では、「勃起不全(ED)治療薬は血圧を下げる薬を服用中では要注意」で投稿したパターンのように、血圧を下げてしまうのでしょうか?
しかし、血圧を下げてしまうことも、あまりありません。
実は、血液をサラサラにする薬が高血圧患者に慎重に使用しなければいけない最も重要な理由は、高血圧症では血管がもろくなり、出血しやすくなっているためなのです。
高血圧症では血管に動脈硬化が起きやすくなっています。
特に、高血圧が持続している方は、動脈硬化が進行していることが多く出血しやすくなっています。
このような方では、血液をサラサラにする薬を使用することで致命的な出血に繋がることもあるため、慎重に使用しなければならないのです。
では、具体的にどのような事に気を付ければよいのでしょうか?
何度も同じことを書いて恐縮ですが、血圧が高まることで動脈硬化が進行し、出血しやすくなるため、血圧を常に適正な範囲に入るようにコントロールすれば出血は起こりにくくなります。
そのためには、「高血圧症では入浴やトイレには致命的な危険がある!」で書いてあるような血圧を急激に変動させる要因を知り、「高血圧患者は必見!塩分の摂取量はどこまで減らすべきか?」や「高血圧の予防と改善が期待できるDASH食(ダッシュ食)とは?」などで書いてあるように食事療法を行い、「有酸素運動は高血圧症に効果あり!有酸素運動の種類と注意点」で書いてあるように有酸素運動を行うと言ったことが考えられます。
健康食品を摂取すると言う手もあります。
生活習慣の改善だけでは、血圧が適正範囲に入らない場合には医師に相談して薬を変更や追加した方が良い場合もあります。
このように、血圧が上がり過ぎないように適正な範囲でコントロールすることが重要です。
また、以下のような症状が出ている場合は、血液をサラサラにする薬が効きすぎている可能性があります
- 鼻血が出やすくなった
- アザができやすくなった
- 歯磨きの際に歯茎からよく出血する
- 軽い切り傷でも、出血が止まりにくい
このような症状がある場合は、医師に相談するようにしましょう。
次に、血液をサラサラにする薬を大きく分類すると、以下のようになります。
- 血栓溶解薬
- 抗血小板薬
- 抗凝固薬
これらの特徴について見ていきたいと思います。
血栓溶解薬
血栓溶解薬は、他の治療薬と違い既にできた血栓も溶かすことができます。
ただ、これらの薬剤は命の危険がある緊急時にのみ使用され、予防薬としては使用されません。
つまり、高血圧症の方が自分自身で管理する薬にはまずなりません。
このブログの運営方針は一般の方が、ご自身で健康を管理されることを目的としているため、ここでは血栓溶解薬の詳細については割愛させて頂きます。
主に急性心筋梗塞、脳梗塞、肺塞栓症で用いられるお薬です。
抗血小板薬
主に動脈において血栓がつくられるのを予防します。
抗血小板薬の一覧は以下の通りですが、このうち国際的にガイドラインで推奨されている薬剤は、アスピリン、クロピドグレル、シロスタゾールなどです。
一般名(※) | 商品名(先発医薬品) |
アスピリン | バイアスピリン |
アスピリン・ランソプラゾール配合剤 | タケルダ |
チクロピジン塩酸塩 | パナルジン |
チカグレロル | ブリリンタ |
クロピドグレル硫酸塩 | プラビックス |
クロピドグレル硫酸塩・アスピリン配合剤 | コンプラビン |
プラスグレル硫酸塩 | エフィエント |
シロスタゾール | プレタール |
リマプロスト アルファデクス | オパルモン |
プロレナール | |
サルポグレラート塩酸塩 | アンプラーグ |
ベラプロストナトリウム | ケアロード |
ベラサス |
(※ 一般名とは、薬剤の主成分の名称です。)
抗凝固薬
主に、静脈にできる血栓の予防や肺塞栓症(※)で使用します。
肺塞栓症は、航空機の座席の狭いエコノミークラスで長時間、座ったままといった状況で起こることがあり、エコノミークラス症候群とも呼ばれています。
ー(略)ー
肺動脈に血液の塊(血栓)が詰まる病気のことです。この血栓がどこでできるかというと、9割以上は「脚(あし)」の静脈内にできます。
(※引用元 [78] 肺塞栓症 | 血管・血液 | 循環器病あれこれ | 国立循環器病研究センター 循環器病情報サービス)
抗凝固薬薬の一覧は以下の通りです。
分類 | 一般名(※) | 商品名(先発医薬品) |
直接トロンビン阻害薬 | ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩 | プラザキサ |
FXa阻害薬 | エドキサバントシル酸塩水和物 | リクシアナ |
リバーロキサバン | イグザレルト | |
アピキサバン | エリキュース | |
クマリン系 | ワルファリンカリウム | ワーファリン |
この表のワルファリン以外の薬剤は、新規経口凝固薬(NOAC)と言われ、ワルファリンと効果が同等以上で副作用の出血のが少ないのが特徴です。
ワルファリンを服用中の方は、納豆やクロレラ、青汁はビタミンKを多く含む食品を摂取すると、ワーファリンの作用を弱めて血栓ができやすくなってしまうため、摂取しないようにしましょう。
その他のビタミンKを多く含む食品については、「ビタミンKの多い食品と、食品のビタミンKの含有量一覧表」をご参照下さい。
以上、「血液をサラサラにする薬は高血圧患者に要注意」でした。
コメントを残す