高血圧症の方が注意をすべき医薬品や生薬、健康食品、サプリメントは実は驚くほど多くあります。
が、意外と知られていません。
新しく医薬品などを服用し始める際には、その都度、医師や薬剤師がしっかりと併用薬などを確認した上で服用できていれば問題はないはずですが、市販薬や健康食までそれを徹底するのは難しいこともあると思います。
また、医師や薬剤師も人間ですので、知識不足や確認ミスがあるかもしれません。
このため、血圧が高めの方や、高血圧治療を受けている方は、どのようなものが血圧を上昇させてしまうのかなど、高血圧症に危険なものをある程度は自分自身で認識しておく必要があると考えます。
今回は高血圧症で注意すべき主なものをリストアップし、多くの方が服用しているものなどについては後日詳細を解説したいと思います。
(高血圧症で注意すべきものは、ここに記載していないものもあります。血圧上昇の頻度が不明なものや、起きたとしても軽度のものに関しては、数が膨大になるため敢えて記載していません。また、注射薬や輸液などは患者様自身が自己管理する薬剤には入りにくいため除いています。医薬品や健康食品などの服用の可否については、かかりつけの医師や薬剤師に個別に確認した上で服用するようにしてください。ご自身の服用されている薬剤が医療用医薬品であれば、添付文書情報メニューで検索して頂ければ医薬品同士の相互作用などが記載されています。)
あくまでもここで一覧にしているのは、高血圧症に対して注意が必要なもののみであり、高血圧症の方が服用されている可能性のある薬剤や健康食品に対して注意が必要なものまでは記載しておりませんのでご了承下さい。
また、以下に記載している薬剤であっても、多くは「高血圧症患者に対して使用できない」と言う訳ではなく、「医師や薬剤師に適正性の確認をした上で使用すべき」薬剤となりますのでご留意下さい。
医療用医薬品
まずは、医薬品の中でも医療用医薬品(主に病院で医師が発行した処方箋により調剤される薬)について見ていきます。
一覧にすると以下のようなものなどがあります。
(医薬品名の記載方法は、一般名(主成分名)をオレンジ色で記載し、カッコ書きで先発医薬品(ジェネリック医薬品ではない薬)の商品名を青色で記載しています。)
- 非ステロイド性抗炎症薬(別名 NSAIDs(エヌセッズ)、解熱鎮痛剤の一種)
- 副腎皮質ホルモン製剤(ステロイド)の内服薬
- 免疫抑制剤(シクロスポリン(サンディミュン、ネオーラル)、タクロリムス(グラセプター、プログラフ))
- 肥満症治療薬(マジンドール(サノレックス))
- エリスロポエチン製剤(腎性貧血で使用される薬剤)
- モノアミン酸化酵素(MAO)阻害薬(セレギリン(エフピー))
- 抗うつ剤(うつ病を改善する薬)
- 抗VEGF産生抗体医薬品(癌を抑える薬の一種です。「VEGF」と言う癌を増殖させる分子を標的として、その機能を抑えます。)
- 昇圧薬(低血圧治療薬)
- 片頭痛治療薬のトリプタン系薬剤
- 片頭痛治療薬の麦角アルカロイド製剤
- エストロゲン製剤(経口避妊薬、骨粗鬆症治療薬の一部など)
- 骨粗鬆症治療薬(アルファカルシドール(アルファロール、ワンアルファ)、ビスホスホネート製剤、モノクローナル抗体製剤)
- 切迫早産治療薬(リトドリン塩酸塩(ウテメリン))
- アルツハイマー型認知症治療薬
- 勃起不全(ED)治療薬
- チアゾリジン系薬剤(ピオグリタゾン(アクトス))
- 抗血栓薬(血液をサラサラにする薬)
- 下剤(リン酸二水素ナトリウム一水和物、無水リン酸水素二ナトリウム(ビジクリア))
- 交感神経刺激薬
- 抗炎症薬(グリチルリチン酸)
- フェノチアジン系の抗ヒスタミン薬
とても多いですね。
繰り返しになりますが、ここで挙げているものでも、必ずしも高血圧症の方が服用できない訳ではなく、医師の判断の下では使用できるものもたくさんあります。
もし、高血圧症の方がここに記載している医薬品を服用していても、自己判断で服用を中止することは絶対にしないようにしてください。
一般用医薬品(市販薬)
市販薬はカテゴリー別にすると少な目に感じるかもしれませんが、例えば風邪薬や鼻炎薬、鎮痛剤には血圧を上昇させる成分が入っていることが多いので、これらもまた注意が必要です。
購入の際は、薬剤師や登録販売者に高血圧症があることを伝えた上で購入するようにしましょう。
- 交感神経刺激薬
- 抗炎症薬(グリチルリチン酸)
- 副腎皮質ホルモン製剤(ステロイド)の点鼻薬
- テストステロン製剤、メチルテストステロン製剤、エストラジオール製剤
- 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
- 抗コリン薬
- アンチスタックス
- 育毛剤(ミノキシジル(リアップシリーズ))
- 炭酸水素ナトリウム(重曹)を含む胃薬
- エパデール
- コエンザイムQ10製剤
- 禁煙補助剤
生薬
生薬では以下のような成分が血圧を上昇させる恐れがあります。
- カンゾウ
- マオウ
- エゾウコギ
- 高麗人参
市販の栄養ドリンク剤や漢方薬には入っている事が多いため、上記の市販薬同様、しっかり確認してから購入しましょう。
例えば、葛根湯は有名な漢方薬だと思いますが、マオウもカンゾウも配合されています。
食品
健康食品などでも、高血圧症の方は慎重に摂取すべきものはたくさんあります。
- アサイヤシ
- コエンザイムQ10
- 経口補水液(OS-1など)
- フェニルアラニン
- アルコール
- タバコ
- 塩
脱水症状を予防するためのOS-1などは、塩分を多く含むものがあります。
高血圧症の方では、摂取上限が設けられている場合がありますので、かかりつけの医師や薬剤師によく確認してから摂取するようにしましょう。
アロマ
上記の医薬品や食品が高血圧症に注意が必要なことをご存じの方は多いと思いますが、アロマにも血圧を上げる作用があるのはご存じでしょうか?
香りは感情や本能を支配する大脳辺縁系にダイレクトに作用します。
また、香りの信号は大脳辺縁系へ到達した後、自律神経の最高中枢とも言われる視床下部、そしてホルモン分泌に関与する下垂体へと伝わります。
このようにして、アロマ(香り)は全身の機能に働きかけます。
- ローズマリー
- ペパーミント
私の知る限りでは、上記の精油(アロマオイル)は刺激があり血圧を上げる作用がありますので、高血圧症の方は注意しましょう。
以上、「高血圧患者が注意すべきもの~まとめ~」でした。
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