前回、健康食品を選ぶ際の留意事項について解説しました
今回は、「血圧が高めの方」に推奨される、特定保健用食品(以降、トクホ)の「ペプチド」について書きたいと思います。
ペプチドとは
高血圧症に効果があると言われている商品はたくさんありますが、ペプチドはトクホとして「血圧が高めの方に適した食品」と言う表示が認められています。
(トクホについて知りたい方は「健康食品・サプリメントの違いと健康食品の分類」を参考にして下さい。)
ペプチドは、以下のように定義されています。
2個以上のアミノ酸のペプチド結合によってできた化合物。アミノ酸の数によって、2個ならジペプチド、3個ならトリペプチドといい、2~10個程度の少数ならオリゴペプチド、10~100個と多数ならポリペプチドという。
(※引用元 peptide(ペプチド)の意味 – goo国語辞書)
ペプチドよりもさらにアミノ酸が多く集まったものがタンパク質となります。
牛乳や魚介類、米、大豆などのタンパク質を分解することで生成されますが、元となるタンパク質により生成されるペプチドが異なり、働きも異なります。
例えば、ラクトトリペプチド、かつお節オリゴペプチド、カゼインドデカペプチド、サーデンペプチド、イソロイシルチロシンなどがあり、これらをまとめてペプチド類と言います。
ラクトトリペプチドとは、ヨーグルトなどの発酵乳から得られるペプチドで、アミノ酸が3つ結合した構造を持っています。
ラクトトリペプチドは、血圧低下作用の他に、生きたまま腸に届くため整腸作用があり、血管に弾力性を持たせる作用があることが報告されています。
つまり、血管が弾力性を持つと言うと言うことは、高血圧による動脈硬化を予防する効果が期待できると言うことになります。
かつお節にはタンパク質が豊富に含まれていますが、このタンパク質から作られるのが、かつお節オリゴペプチドです。
カゼインドデカペプチドは、牛乳蛋白から作られます。
カゼインにはカルシウムの吸収を促進する働きがあります。
カルシウム不足では高血圧になりやすいため、カゼインドデカペプチドは高血圧に効果があると言われています。
サーデンペプチドはイワシ由来のペプチドで、アミノ酸が多く含まれているため血圧を安定させます。
イソロイシルチロシンは、キノコの一種のたんぱく質から作られるペプチドです。
海苔ペプチドは海苔由来のペプチドで血圧低下作用の他、肝機能改善作用もあると言われています。
ペプチド類を摂取する際の注意点
これらのペプチド類は、高血圧治療薬の「ACE阻害薬」と同様の働きをして血圧を下げます。
(ACE阻害薬の働きについては「高血圧治療薬を分類別に解説!ARB・ACE阻害薬とは?」を参考にして下さい。)
食品由来のため医薬品のACE阻害薬よりは血圧を下げる作用は穏やかですが、副作用を含めた有害事象は少ないため、医薬品に比べると安全性は高いと言えます。
ただし、ACE阻害薬が妊婦には使用できないことからも推測されますが、ペプチド類も妊婦や授乳婦には慎重に使用し、大量摂取は控えるべきです。
また、ACE阻害薬を服用中の方がトクホのペプチド類を摂取した場合、血圧を下げる作用が増強してふらつきなどの低血圧症状が出たり、副作用が増強することが考えられるため避けるようにしましょう。
さらに、以下の医薬品を服用している方や、腎機能が低下している方は高カリウム血症(※)が起こりやすくなるので注意が必要です。
(※ 高カリウム血症では、血液中のカリウム値が高くなり、四肢のしびれや不整脈、吐き気などが出やすくなります。)
- カリウム保持性利尿剤
スピロノラクトン(アルダクトンA)、トリアムテレン(トリテレン)、カンレノ酸カリウム(ソルダクトン) - カリウム補給剤
塩化カリウム(スローケー)、L-アスパラギン酸カリウム(アスパラカリウム、アスパラギン酸カリウム)、L-アスパラギン酸カリウム・マグネシウム(アスパラ)など
(一般名(主成分の名称)を記載し、カッコ書きで先発医薬品(ジェネリック医薬品ではない方の薬)の名称を記載しています。)
これらの医薬品を既に服用している場合は、かかりつけの医師や薬剤師に確認の上でペプチド類を摂取するようにしましょう。
以上、「高血圧治療薬の〇〇と同様の働きをするトクホのペプチドとは」でした。
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