健康食品の市場は拡大していく
2015年4月に、政府の医療費抑制などの目的のために43年ぶりに食品表示制度が改定され、「機能性表示食品」の新制度が始まりました。
健康食品の需要と、国民の関心は高まるばかりです。
平成24年の「消費者の「健康食品」の利用に関する実態調査」によれば、健康食品を「ほぼ毎日利用している者」と「たまに利用している者」を加えると、約6割の消費者が健康食品を現在利用しているそうです。
社会の高齢化や近年の健康志向を考えると、今後ますますこの傾向は増長していくのではないでしょうか。
健康食品は安全か?
では、健康食品は無条件に信頼し、安心して摂取して良いのでしょうか?
健康食品は販売業者が独自の判断で「健康食品」と称して販売しているだけで、第三者による認定や許可を受けている訳ではないため、問題があることが多くあります。
その問題の一つが、有効成分の含有量の問題です。
例えば、国民生活センターの調査によれば、ほとんどのコンドロイチン硫酸が配合された市販の商品では、コンドロイチン硫酸の表示量に比べて実際の含有量は大幅に少なかったと言う報告があります。
(※参考 国民生活センター)
また、製造工程での異物の混入などの問題などもあります。
錠剤やカプセル剤などでは、中に異物が入っていないのか確認することは困難です。
自身の健康ために摂取しているはずが、それが逆に身体に害を及ぼす事にもなりかねません。
基本的に毎日摂取するものなので、やはり「安心して摂取できる」、「表示を信頼できる」と言う点はとても重要な点だと考えます。
よく食品偽装などのニュースが公表されていますが、公になっているものは氷山の一角のため、健康食品には驚くほど多くの品質・有効性に関する問題が潜在的にあるのです。
安心して健康食品を摂取するためには
GMPとは
そこで安心・信頼の一つの指標にして頂きたいものに、「GMPマーク」があります。
GMPとは何でしょうか?
GMPとは、Good Manufacturing Practice(適正製造規範)の略で、原材料の受け入れから製造、 出荷まで全ての過程において、製品が「安全」 に作られ、 「一定の品質」が保たれるようにするための製造工程管理基準のことです。
(※引用元 「GMPマークを目印に健康食品を選びましょう!」|厚生労働省)
このように定義され、以下のような三原則を掲げています。
- 各製造工程における人為的な誤りの防止
- 人為的な誤り以外の要因による製品そのものの汚染および品質低下の防止
- 全製造工程を通じた一定の品質の確保
(※引用元 「GMPマークを目印に健康食品を選びましょう!」|厚生労働省)
医薬品はGMP認定工場で製造されています。
品質管理が医薬品が製造されるときと同等であると言うとイメージしやすいかもしれません。
では、「GMPマーク」とはどのようなマークなのかと言うと、下の二つのうちのいずれかになります。
ただ、日本で行われているGMPはアメリカで行われているcGMPに比べるとまだまだ基準が低いです。
例えば、製造・品質管理の厳しさでは、cGMPでは法律でcGMP工程での製造が義務づけられているのに対して、GMPでは任意で法律で決められていません。
成分含入の確認では、cGMPでは原材料と加工してから1回ずつ合計2回の検査が義務付けられているのに対して、GMPでは検査しなくても良いことになっています。
また、認定機関による未告知の立ち入り検査についても、cGMPでは政府の専門機関(FDA)により行われることになっているのに対して、GMPでは立ち入り検査はなしとなっています。
健康食品の需要は高まっているため、今後はGMPもより厳格な方向に進んでいくのではないかと思います。
ハイクオリティ認証とは
そこで、もう一つ参考にして頂きたいものがあります。
それが「ハイクオリティ認証制度」です。
ハイクオリティ認証制度とは、一般社団法人日本健康食品・サプリメント情報センター(JAHFIC)が行っている、健康食品・サプリメント製品やその製品を構成する原材料の品質と安全性を認証し、登録する制度です。
製造会社ではない、第三者機関による確認・認証がされているためとても信頼性が高くなります。
マークは以下のようなものです。
ぜひ、健康食品を選ぶ際は、「GMP」と「ハイクオリティ認証」を参考にして選択していただければと思います。
JHFAマークとは
GMPとハイクオリティ認証は健康食品を選択する際にとても信頼できる表示ですが、その他にも参考になる表示として「JHFAマーク」と言うものがあります。
「JHFAマーク」がついている食品は、公益財団法人 日本健康・栄養食品協会が認めている食品で、品質や製品の規格が保証されています。
以下のようなマークです。
これらの表示の留意点
ただし、注意して頂きたいのは、保健機能食品と違い身体の構造や機能に影響を及ぼすような有効性や効果を保証しているものではないと言う点です。
(※ 保健機能食品については「健康食品・サプリメントの違いと健康食品の分類」を参考にして下さい。)
これらの表示が保証しているものは、安全性や含量の均一性、信頼性と言うものであり、健康食品がご自身に効果があるかどうかと言う事に関しては、実際に一定期間摂取して試してみるしか知る術はありません。
しかしながら、安全性や含有の均一性、信頼性と言う観点からは、とても重要な表示であることには変わりありません。
医薬品との飲み合わせ
最後に、健康食品を購入される場合は、副作用や現在服用している医薬品との相互作用にも十分に確認してから購入しましょう。
中には医薬品の作用を増強したり、減弱することで重大な副作用が出る恐れがあるものもあります。
例えば、エキナセアには免疫力を高めるハーブとして知られていますが、膠原病、白血病、HIV感染症などの免疫系の進行性の疾患を持つ方が摂取すると、免疫不全を引き起こすことがあります。
また、グァバは血糖値の上昇を抑える効果がありますが、グァバの葉に含まれるタンニンを大量に摂取すると便秘を起こしやすくなります。
以上、「健康食品は安全か?摂取時の注意点」
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