血圧を上げやすい栄養素と言えば、すぐに「塩分」が思い浮かぶとかと思います。
では、血圧を下げやすい栄養素と言えば何があるでしょうか?
もし、仮にそのような栄養素が存在するのであれば、その栄養素を含む食品ばかりを摂取すれば血圧は下がりやすくなるのでしょうか?
結論を先に述べると、そのように血圧を下げやすい栄養素は存在します。
血圧を下げる作用のある栄養素にはどのようなものがあるのか解説します。
血圧を下げる作用のある栄養素について
血圧を下げる作用が知られている栄養素には、以下のようなものがあります。
- カリウム
- カルシウム
- マグネシウム
- 食物繊維
- EPA・DHA
意外とたくさんあることが分かります。
これらを豊富に含む食品は探せば結構見つかりそうですが、例えば、以下のような食品があります。
- カリウム・・・パセリ、よもぎ、アボカドなど (野菜や果物、豆類等に多く含まれます)
- カルシウム・・・桜エビ、プロセスチーズ、しらす干し(半乾燥) (乳製品、骨ごと食べる魚、殻を食べるエビ、大豆、葉物等に多く含まれます)
- マグネシウム・・・しらす干し(半乾燥)、油揚げ、ゆで大豆など (大豆製品、魚介類、海藻、木の実に多く含まれます)
- 食物繊維・・・ゆでいんげん、ゆであずき、おからなど (豆類、穀類、野菜、きのこ、海藻等に多く含まれます)
- DHA・EPA・・・マグロ、ブリ、サンマ、サバなど (背の青い魚に多く含まれます)
(※参考 簡単!栄養andカロリー計算)
そこで問題となるのは、これらの栄養素を含む食品をたくさん摂取すれば血圧を下げることができるのかと言う事です。
多くの方が勘違いする落とし穴なのですが、これに対する答えは「No」です。
重要なことは、特定の栄養素の摂取量が偏ることなく、各栄養素をバランスよく摂取すると言うことです。
仮に、血圧を下げる作用があると言われる栄養素を十分に摂取したとしても、他の栄養素が不足してしまっていると、体に必要としている栄養素は偏ってしまい、結果体調を崩してしまう原因となりかねません。
日本人の食事摂取基準(2015年版)の概要では、栄養素の1日の摂取量の適正量が定められています。
例えば、50~69歳の推奨量としては以下のように定められています。
男性 | 女性 | |
カリウム | 3000mg/日以上 | 2600mg/日以上 |
カルシウム | 700mg/日 | 650mg/日 |
マグネシウム | 350mg/日 | 290mg/日 |
食物繊維 | 20g/日以上 | 18g/日以上 |
とは言えど、毎日料理のことばかりを考えていられる方であればともかく、多くの方がそうではない方ばかりであり、毎日バランスのよい食事の献立を考え、料理を作るのはほとんどの方が無理なのではないでしょうか。
では、何かこの打開策はないか?
実はあるのです。
1日の単位で、栄養素を偏ることなく摂取しようとすると困難です。
そうではなく、3日間や1週間の単位で栄養素のバランスを調整すると言う方法です。
これであれば特定の日に栄養が偏ったとしても、1週間の内で不足している栄養素を積極的に摂取すれば良いため、比較的簡単に栄養バランスを調整しやすくなります。
しかし注意点として、食品に含有される量であったとしても、特定の栄養素を過剰摂取をした場合は特定の疾患に悪影響を与える恐れや、服用されている医薬品と相互作用が現れることがあります。
例えば、重度の慢性腎障害のある方はカリウムの摂りすぎてしまうと体の中にカリウムが過剰になることがあります。
骨粗鬆症の治療を受けている方や、心不全の治療を受けている方は、治療のために処方されている医薬品の種類によってはカルシウムの摂りすぎで医薬品の副作用が出現しやすくなる事があります。
さらに、EPA・DHAは血液をサラサラにする作用があることで有名ですが、脳梗塞や心筋梗塞を過去に起こされたことがある方などに対して処方されている医薬品の中には、同様の作用がある医薬品もあるため、相互に作用を増強する恐れがあり注意が必要です。
上記はあくまでも一例です。
各種疾患をお持ちの方や、医薬品を服用されている方は、かかりつけの医師などに相談の上で各栄養素の適正な摂取量を設定するようにしましょう。
以上、「血圧を下げやすい栄養素とは?」でした。