以前高血圧を放置している方が多いと言う記事を書きました。
では、なぜ高血圧症は薬が必要な疾患だと分かっていて放置してしまうのでしょうか?
今回は、高血圧症が放置されやすい理由について掘り下げたいと思います。
高血圧症を放置することの危険性について知識がない
当ブログをご覧になられている方は、ご自身で健康を管理されようと考えてらっしゃる方が多いと思いますので、そのような事はないのもかもしれませんが、薬局で患者様とお話をしていると、高血圧症に対して危機感を持っておられる方は少ないように感じます。
皆さん高血圧症はご自身の健康を害するものだと言うことはよくご存じです。
それこそ病院や薬局でうんざりする程、毎回血圧の話をされているのではないでしょうか?
血圧を下げておかなければならないことは分かっていても、具体的になぜと言われるとなかなか即答できない。
患者様のお話を伺っていると、このような方が多いように思います。
確かに、ご自身がその行動の必要性についてご理解されていないことを勧められても、積極的に取り組むのは困難であると思います。
医療提供者側も、ただ「血圧を下げるように努力して下さい」と言うことが多く、その理由や具体的な方法について説明をする努力が不足しているのも事実だと思います。
ただ、「なぜそれができないのか」と言われると、それは簡単な問題ではなく、分かっていてもなかなかできない現状があります。
「業務が忙しいため、一人の患者様に長時間かけられない」と言う理由では、なかなか患者様も納得していただけないかもしれませんが、それが本音です。
国民医療費の高騰を抑えるために様々な政策が打ち出され、年々薬局や病院の経営は厳しくなっています。
医療機関は利益を追求するところではないですが、赤字では事業を継続することはできません。
収益を黒字化するためには、限られた人員で多くの患者様に来て頂くしかないのです。
そのような中で、目の前の患者様に「この方はどのような事を理解していなくて、どのような事を伝えるべきか」などと深く考え、長時間説明をする事はなかなか難しいことです。
また、不謹慎ではありますが、医療提供者も人間です。
自分の利益になることしか興味がない方もいるかもしれません。
「患者が理解していなくても所詮は他人事だ」
と思っている方もいるかもしれません。
つまり、過度に他人を信頼し、ご自身の健康管理を簡単に他人任せにするのではなく、「自分の健康は自分で守る」と言うくらいの気持ちを持つべきだと考えます。
そして、自身の病気に対して関心を持ち、自己管理するための知識を深めようとする方が増えて欲しいと思います。
高血圧症はそれ自体では痛みなどの自覚症状があまり出ない
高血圧症を放置してしまいやすい理由の二つ目は、高血圧症はそれ自体では痛みなどの自覚症状があまり出ないためです。
自覚症状は全く出ないわけではなく、急激な血圧上昇では頭痛や肩こり、めまい、息切れ、動悸などが起こりやすいのですが、これはストレスや疲れなどでも起こるため、なかなか高血圧を疑うことがありません。
「医者などには血圧を下げるように言われるが、具体的に何のために下げなければならないのか分からないし、別に今痛くも痒くもない」
「それなら、まあ放っておいてもよいか」
となってしまうのです。
これは、「高血圧症を放置している方が多い」と言う理由だけでなく、「高血圧治療を行っていても、適正範囲に入っていない方が多い」と言う理由にも当てはまります。
(血圧の適正範囲は、個人差がある場合があります。詳細は下記の記事をご参照下さい。)
高血圧が起きていることに気づかない
血圧は1日のうちでも測定する時間帯により変動することが多いです。
このため、いつも昼間に血圧測定されてて正常だと思われている方が、実は血圧が上昇している時間帯を知らずに過ごしているだけで、高血圧症を知らぬ間に放置していると言うことがよくあります。
高血圧症を放置しないために
高血圧症を放置しないためには、まずは「自分の健康は自分で守る」と言う意識を持ち、高血圧症を予防や改善するために必要な知識を積極的に取り入れて頂ければと思います。
また、高血圧症を見逃さないためにも、普段何も症状が無くても、血圧は定期的にできるだけ様々な時間帯で測定するようにして頂き、現在高血圧なのに治療を受けていない方は、「自覚症状がないまま動脈硬化などの合併症が進行してしまっている」と言う危機意識を持って、なるべく早めに受診して頂ければ幸いです。
参考までに、高血圧症の合併症について書いた記事がありますので、よければご参照ください。
以上、「高血圧を放置してしまう3つの理由」でした。