前回、「高血圧を放置してしまう3つの理由」で血圧が放置されやすい疾患であることを説明し、「高血圧症の合併症はこれほど恐い!高血圧症を放置した顛末」で放置するとどのようなリスクがあるのか解説しました。
ここまで継続して当ブログを読んで下さっている方には、
「高血圧は痛みも何もでないから、放っておいても大丈夫だろう」
などと考えておられる方はいない事と思います。
では、高血圧症を自己管理するために、血圧測定ではどのような事に注意すればよいのでしょうか?
血圧を測定する際には様々な注意点があるのですが、意外と知られていません。
今回は血圧測定をする際に、どのような注意すべき点があるのか解説したいと思います。
血圧を変動さないための対策
血圧を正確に測定するためには、どのような要因で血圧が変動するのかを知り、どのように対策するかがポイントとなります。
①気温を一定にする
一般的に、気温が下がると血管は収縮するため血圧は上がります。
血圧測定をする環境は、毎回同じ条件で測定することが望ましいので、気温が一定となるようにしましょう。
②静かな環境で測定する
騒々しい環境では血圧は上昇しやすいため、テレビなどは消して測定しましょう。
③会話はしない
②と同じ事ですが、会話をすることで血圧が上昇する可能性がありますので、測定中は会話はしないようにしましょう。
④安静後に測定する
運動した後などは血圧が上がりやすいです。
運動した後などの興奮状態にある場合は、安静後1~2分してから測定しましょう。
⑤喫煙や飲酒、カフェイン含有食品は測定前に摂取しない
喫煙は一時的に血圧を上昇させます。
受動喫煙により周りの人にもその影響を与えてしまいます。
飲酒は一時的には血圧を下げますが、継続的に一定量以上摂取すると血圧が上がりやすくなります。
1日当たりのエタノール換算で以下の量が適正だと言われています。
- 男性・・・20~30g
- 女性・・・10~20g
例えば、350mLのビールでアルコール度数4%だと、このビールに含まれるアルコールの量はエタノール換算で以下の量となります。
350×0.04×0.8=11.2g
0.8を掛けるのはエタノールは1mLが0.8gであるためです。
休肝日を設けるのも忘れないようにして下さい。
また、カフェインが入ったものも血圧を上昇させます。
栄養ドリンク剤やコーヒーや緑茶などにも多くカフェインは入っていますが、カフェインは交感神経を刺激するため、血圧上昇が起こりやすくなります。
⑥食後に測定はしない
食後は血圧が上がりやすくなるため、食後に測定するのは避けましょう。
⑦血圧に影響のある薬剤は使用すべきか慎重に判断
⑤で書いたカフェイン製剤の他にも血圧を変動させる薬剤はたくさんあります。
病院で治療薬として処方させている場合は医師の指示通り使用しなければいけませんが、市販薬や健康食品の場合は高血圧症であっても使用できるのか、血圧への影響の有無などを薬剤師や登録販売士に確認した上で購入するようにしましょう。
例えば、血圧を変動させる市販薬や健康食品には、以下のようなものがあります。
- 鎮痛剤の一部
- 鼻炎薬の一部
- 風邪薬の一部
- カンゾウ配合の漢方薬
- マオウ配合の漢方薬
- 育毛剤のリアップ
- 経口補水液(OS-1など)
(上記は一部であり、他にも血圧に影響を与える恐れのある薬剤はたくさんあります。)
市販薬や健康食品であったとしても、使用する前に事前にかかりつけの医師に服用の可否について確認しておく事がベストです。
正しい方法により測定する
血圧を変動させる要因に対して対策を行った後は、血圧を適切に測定しましょう。
具体的には、以下のような事に気を付けて測定して下さい。
⑧背もたれつきの椅子でリラックス
背もたれがついた椅子でリラックスして測定することで血圧が安定しやすくなります。
⑨カフの位置を心臓と合わせる
カフの位置は心臓と高さを合わせることで最も安定した血圧を測定できます。
手首や指で測るタイプの血圧計は手軽に測れるメリットはありますが、測定する高さが変動しやすく、正確に測定すると言う意味ではおすすめではありません。
家庭血圧測定では、上腕用が勧められています。
⑩1日2回、朝・晩で測定する
血圧は1日のうちでも変動することが多いです。
1日1回のみの測定では、1日中血圧が適正範囲に入っているのかが分かりません。
朝は起床後1時間以内、排尿後、朝の血圧の薬を服用する前、朝食前のタイミングで測定しましょう。
夜の測定は就寝前に行うようにして下さい。
⑪1回につき2回測定して平均値をとる
血圧測定にはブレが出ることがあるので、一度ではなく二度測定して平均値を算出するのが良いです。
以上が血圧を正しく測定する方法です。
血圧測定をしたら
血圧測定をした場合は「血圧手帳」に記入し、受診の際に医師に提示するようにしましょう。
(「血圧手帳」は処方箋を受け付けている薬局などで無料で貰う事ができます。)
なお、血圧の測定方法について、主治医から指示があった場合にはそれに従うようにして下さい。
以上、「血圧を正しく測定するための11ヶ条」でした。
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