前回の記事では、いかに日本人に高血圧患者が多いのかと言うことを解説しました。
では、高血圧はどのような仕組みで起こるのでしょうか?
多くの方は「高血圧の仕組みくらいは知っている」と思っているかもしれません。
しかし、「では、どのようにして起きているのか説明して下さい」と言うと多くの方が説明できないことを私は知っています。
このため、知っているようで意外に知らない「高血圧の仕組み」について解説したいと思います。
血圧の仕組み
皆さんもよくご存知の通り、血圧は「血液が血管の壁を押し広げる圧力」の事を指します。
では、まずは血圧がどのように定義されているのか確認したいと思います。
血圧=心拍出量×抹消血管抵抗
いきなり、難しい言葉が出てきましたが、一つずつ確認します。
心臓は拍動することにより、心臓から血管に一気に血液を大量に送り出します。
この心臓の収縮により血管に送り出されるの血液の量を「心拍出量」と言います。
また、血液が全身の血管を流れる時に、「流れにくさ」と言うものがあります。
例えば、身体の中のどこかの血管が狭くなっている場合や、血液がドロドロになっている場合は血液は流れにくい状態であると言えます。
このように、「いかに血液が流れにくいか」を表した指標として「抹消血管抵抗」と言うものがあります。
つまり血圧は、心臓から流れてくる血液の量が多ければ多いほど、また血液が血管の中を流れにくければ流れにくいほど、高くなると言えます。
「上の血圧」「下の血圧」とは何か?
心臓の収縮により大量の血液が一気に流れるため、一時的に血管には強い圧力がかかります。
この心臓が収縮した時の血圧を収縮期血圧(最大血圧)と呼びます。
いわゆる「上の血圧」です。
収縮時には全身の血管に血液を送り出しましたが、逆に拡張する時には、心臓は全身の血管から血液を吸い上げます。
この、最も血管に対して圧力が低くなっている時の血圧を拡張期血圧(最小血圧)と呼びます。
「下の血圧」とよく呼ばれます。
高血圧が及ぼす悪影響
心臓から送り出された血液は、血管を通り腎臓や肝臓や脳などの各臓器へと流れ込みます。
各臓器には血管が張り巡らされていますが、心臓から送り出された血液が全て臓器に流れ込むと、臓器にある血管は圧力が強くなり過ぎるため、臓器に障害が起こりやすくなります。
そのような事が起こらないために、人間の健康な血管は弾力性を持っており、心臓が収縮した時に一気に血液が流れてくる場合でも、血管が膨らむことで血液を血管内に溜めこむことができ、臓器へ流れ込む血液の量を減らし、臓器の血管の負担を軽くしているのです。
「動脈硬化」と言う言葉は、多くの方が聞いたことがあると思います。
血圧が高い状態を放っておいてしまうと、血管は常に強い圧力にさらされてしまうために、これに耐えようと血管の壁を厚くし始めます。
この結果、どのような事が起こるのかと言うと、細い血管では血管内がさらに細くなっていき、太い血管では血管自体が硬くなっていってしまいます。
これが、いわゆる「動脈硬化」と呼ばれるものです。
動脈硬化は悪いものとして扱われますが、なぜそんなに悪いのでしょうか?
前述したように、動脈硬化を起こすと血管内がさらに狭くなり、血管が硬くなるため心臓から流れてきた血液を、血管が膨れることで血管内に留めておくことができなくなります。
この結果、何が起こるかと言うと、血管が狭くなると「末梢血管抵抗」が上がるため血圧は上昇し、血管の弾力性がなくなることで血圧が上がりやすくなります。
つまり、高血圧により動脈硬化が起こりやすくなりますが、動脈硬化になるとさらに血圧が上昇しやすくなるのです。
このようにして高血圧と動脈硬化は悪循環を繰り返してしまうのです。
このため動脈硬化は危険であり、高血圧患者は動脈硬化が起きないようにしなければいけないのです。
高血圧による動脈硬化が招く危険性については以下の記事で詳しく書いています。
高血圧を予防・改善することは、動脈硬化のリスクを回避することができ、将来の健康な生活を送るために非常に重要であると言えます。
以上、「そもそも血圧とは何か?」でした。
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