ご自身がどちらに分類されているのか、どのような治療が必要で、どのような事に気を付けて生活すべきなのか考えていきましょう。
高血圧症はどのように分類されるか
高血圧症は原因となる疾患や薬剤があるかないかで分類されます。
まず、高血圧症発症の原因となる疾患や薬剤がない場合を「本態性高血圧」と言います。
言葉だけ聞くと難しく感じるかもしれませんが、例えば、ご両親のどちらかが高血圧症に罹患していて、遺伝で高血圧症を発症したことが原因であれば、高血圧症発症の原因は疾患ではないので本態性高血圧となります。
これに対して、原因となる疾患や薬剤がある場合を「二次性高血圧」と言います。
例えば、ステロイドの内服薬は血圧を上昇させる副作用があります。
ステロイドを長期間服用することにより高血圧症を発症する場合があります。
この場合は、薬剤が原因となって高血圧を発症しているので、二次性高血圧となります。
「本態性高血圧」と「二次性高血圧」の主な違い
それぞれどのような原因があるか?
一例を既に挙げましたが、主な原因を列挙します。
本態性高血圧では遺伝因子と環境因子に分けられる
本態性高血圧は基本的に検査などで原因を特定できないものです。
二次性高血圧が否定されることで、本態性高血圧と診断されます。
遺伝因子は、言うまでもなく遺伝により発症したものを言います。
環境因子に該当するものは以下のようなものがあります。
- 食塩の過剰摂取
- ストレス
- 肥満
- 運動不足
- アルコールの過剰摂取
- 喫煙
- 加齢
食塩やストレス、肥満で高血圧症が引き起こされることはよく知られていることだと思いますが、継続的な飲酒や喫煙でも高血圧症になりやすくなります。
つまり、本態性高血圧に該当する方は、食事や運動と言った生活習慣を改善することで、高血圧も改善されやすいタイプだと言えます。
血圧が異常に高い場合であれば、医師の判断の下で血圧を下げる薬を服用すべきですが、最も根本的で重要なことは、食事療法、運動療法なので薬による治療だけを頼ってはいけません。
二次性高血圧では疾患による場合と薬剤による場合がある
まず、どのような疾患が原因で高血圧症が起こるかと言うと、睡眠時無呼吸症候群、糖尿病、膠原病、動脈硬化、クッシング病、甲状腺疾患などがあります。
睡眠時無呼吸症候群は、二次性高血圧の最も原因となりやすいと言う報告もあります。
薬剤では、ステロイド、NSAIDs(エヌセッズ)、グリチルリチン含有製剤(甘草など)などがあります。
NSAIDsは多くの市販の鎮痛剤や風邪薬に配合されている成分です。
ステロイドは一昔前には悪いイメージで有名になったものなので、名前はよくご存じかと思いますが、実際は適切な用法・用量で使えばメリットが大きく副作用も最低限に抑えれるため、貴重な薬剤の一つです。
では、甘草とは何でしょうか?
これは漢方薬によく含まれている成分で、鎮痛作用や鎮咳作用や、痰を切る作用などがある生薬です。
高血圧症の方が漢方薬を使用する場合は甘草が含まれてないかチェックしましょう。
強調して言いたいのは、甘草も摂りすぎると高血圧症などの副作用がでることがありますが、適切な用法・用量であれば良い薬となりますので、過剰に心配をして処方されている薬を、自己判断で中止したりしないようにしましょう。
ご心配な方は、かかりつけの医師や薬剤師に服用前にご相談してみて下さい。
二次性高血圧の場合は、以上のような高血圧の原因となる疾患や薬剤があるため、これらの治療や対策も高血圧の治療に重要となります。
高血圧の原因となっているものが薬剤である場合は、該当の薬剤を中止するだけで高血圧が改善することもあるため、高血圧治療が必ずしも必要ではない場合もあります。
二次性高血圧の特徴
二次性高血圧では、主に以下のような特徴があります。
- 高血圧が比較的重症である
- 薬剤による治療が効きにくい
- 若いころから高血圧である
- 急に高血圧になった
このような特徴がありますが、原因を特定し、治療することにより効果的に治療ができます。
「本態性高血圧」と「二次性高血圧」ではどちらが多いのか?
高血圧症の方の約90%は本態性高血圧だと言われており、二次性高血圧は約10%だけだと言われています。
繰り返しになりますが、生活習慣の乱れは本態性高血圧の大きな原因となります。
つまり、生活習慣を改善すれば大抵の高血圧症は改善できる可能性があると言うことになります。
薬には必ず副作用があります。
長年服用するのであれば、それだけリスクも上がり、治療費も高額になり、通院などの時間的コストもかかります。
血圧が高い時には、適切な薬を服用すべきですが、薬だけに頼るのではなく、自身の生活習慣の改善によって、薬を服用しなくても良い生活を取り戻せるようにしましょう。
以上、「あなたはどちら?高血圧症の原因による分類」でした。
コメントを残す