「もう高血圧の薬を中止してもいいのでは」と思ってしまった方へ

高血圧・薬・中止

先日、父と話している時にこう言われました。

最近、血圧は安定しているし、受診しても医者からは血圧のことは何も言われないんだよな~。
体のどこかが不調な訳でもないし、薬はもう止めても大丈夫なんじゃないかって思うんだが、どう思うか?

結論から言うと、もちろん勝手に中止してはダメなのですが、血圧の薬をずっと継続して服用していると、こう思ってしまう方は意外と多いのではないかと思います。よくよく考えてみると、患者さんからも度々言われる事があることを思い出し、危機感を覚えたので今回は「なぜ血圧が正常範囲で安定していても自己判断で中止しては駄目なのか」について解説します。

自己判断での薬の中止は自殺行為に近い

ペン太
薬を中止しちゃダメって言うけど、低血圧でふらつきとか、立ちくらみとか出てても中止しない方が良いってこと?
JIN
薬に副作用がある場合は、中止を検討すべきです。
ただ、それは医師が判断すべきであり、その結果「中止」となったとしても、患者が自己判断で中止するのとは訳が違うのです。
ペン太
そうなの?

なぜ高血圧の薬を自己判断で中止することが危険なのか解説していきます。

血圧がコントロールできているのは薬を服用しているおかげ

高血圧治療薬によって血圧が正常化した状態が長期間続くと、高血圧症が完治したとのではないかと誤解する方が中にはおられるようです。普通に考えると当然の事ですが、血圧が正常範囲で安定しているのは、血圧を下げる薬を服用しているためです。

高血圧治療薬は、高血圧症を完治させるものではありません薬の効果が持続する間のみ、血圧を一時的に抑えるだけなので、中止すれば当然血圧はすぐに上昇します

確かに、長年薬を飲んで血圧が下がっていると、ちょっと「薬を止めても上がらないんじゃないか」と思ってしまうんだよな。
医者に「止めてみてもいいですか?」なんてことを言うのはちょっとできないんだけど、実際に中止してみれば分かることだから試しにやってみたいって思ってしまう部分はあるな。
JIN
いやいや、だから中止したら血圧上がるって・・・。

薬の中止によりリバウンド現象が現れることもある

次に、医薬品には副作用と言うものがあります。

副作用と言うと、多くの方は薬を服用している期間に出るものと思ってらっしゃると思います。しかし、中には薬の服用中止後に出現しやすくなる副作用もあります。

例えば、急激な中止により、リバウンド現象が起こる薬剤もあります。

ペン太
リバウンドって急にダイエットの話になるの?
JIN
この話の展開でダイエットの話は出てこないでしょ(汗)
リバウンドって言ってもダイエットの話ではなく、副作用の話です。
リバウンド現象
薬剤の急激な中止により、薬を服用する前の血圧値よりも血圧がむしろ上昇してしまう現象。

寒さ」と「排便」は両方とも血圧を上昇させる要因ですが、このように血圧が上昇している状態で、冬場の寒いトイレで、排便時にいきんだりするとどうでしょうか?

高血圧・入浴・トイレ

高血圧症では入浴やトイレには致命的な危険がある!

2019年7月9日

風呂とトイレは亡くなる方が多いって言うし、それは想像するとちょっと怖いな・・・。

高血圧症はサイレント・キラー

また、高血圧症は症状がないまま、ある日突然致死的な病気を引き起こします。

ペン太
「致死的な病気」って一度出たら死んじゃうかもしれないって意味だよね。
脳卒中や心筋梗塞とかのこと?
JIN
その通り!

つまり、「血圧が上がり何か自覚症状が出てくれば受診すれば良いや」と思っていたとしても、血圧が上昇しても何も自覚症状は出にくく、仮に何か症状が出ていたとしてもそれが高血圧が原因の症状とは気づけないことが多いのです。

高血圧・放置

高血圧を放置してしまう3つの理由

2019年7月6日
JIN
高血圧で出やすい症状と言えば肩こりや頭痛などですが、それらが出て「今、高血圧になっているかも!?」って思える人って少ないと思うんです。
それは確かに気づけないな(笑)

その間にも、高血圧の状態では確実に血管が硬く、もろくなっていき、そのうち突然致死的な病気を引き起こしてしまうのです。このため、高血圧は「サイレント・キラー」と言われています。

ペン太
沈黙の殺し屋・・・。
聞くだけで恐ろしい。
高血圧・合併症

高血圧症の合併症はこれほど恐い!高血圧症を放置した顛末

2019年7月5日

高血圧になっている時間帯や季節を知らないだけかもしれない

ご自身で正常範囲で安定していると思っている血圧は、実は時間帯によっては高血圧になっているかもしれません。

これは、通常血圧は1日を通して、時間帯により変動するためです。

血圧測定

血圧測定をしている方必見!血圧は測定する時間帯により変動する

2019年7月7日

血圧が下がったタイミングばかり毎回血圧を測定しているのであれば、知らず知らずのうちに高血圧になっている時間帯があるかもしれません。当然、その状態で薬を中止してしまうと大変危険です。

また、血圧は季節により変動します。一般的に、冬と夏では冬の方が気温が低いため高くなります

血圧が低いと思っていても、低い時間帯で測定しているだけかもしれないし、今の時期は暖かいから寒くなれば血圧は上がる可能性があるってことか。

ご自身の正確な血圧を知るには、正確な測定方法が必須です。正確な血圧測定に関しては、以下の記事をご参考にして下さい。

血圧測定

血圧を正しく測定するための11ヶ条

2019年7月7日

患者個々の血圧の適正範囲は医師の判断により決まる

薬局で患者様に血圧がどのくらいか尋ねると、「正常だよ」と言われることが多々あります。

医師にそう言われているのであれば、確かに正常範囲内だと思いますが、患者個々の血圧の適正範囲は、年齢や併せ持つ病気、患者背景などを考慮して医師が判断するため、一般的に認知されている140/90mmHg未満であれば全ての方が正常範囲と言う訳ではありません。

血圧・目標の画像

血圧の目標値は人により異なる!

2019年7月8日

現在の血圧が「正常域血圧(140/90mmHg未満)」であったとしても、それが本当にご自身にとって適正な血圧であるかは分からないため、このような状態で薬を自己判断で中止するのは大変危険です。

そう言えば、腎機能が低下してるって医者に言われてたな。
勝手に血圧は140/90未満に抑えていればいいんだと思っていたが、腎機能が悪い場合は血圧の目標値が違う可能性があるってことか・・・。
スポンサーリンク

まとめ

ちょっとたくさん話してきたので、なぜ自己判断で中止してはいけないのか整理したいと思います。

  1. 血圧の薬を服用して、血圧値が正常範囲に入っているのであれば、医師の判断なしに薬は中止できない。
  2. 血圧の薬の中止により、リバウンド現象などの副作用を起こす薬剤もあるため、自己判断での中止は危険。
  3. 高血圧症は自覚症状がないまま合併症が進行していくため、放置は危険です。
  4. 血圧は1日や1年間を通して変動するため、一時的に低くなっていても、高くなる時間帯や季節はあるかもしれません。
  5. 血圧の適正範囲は各個人で違うため、現在の血圧が本当に適正なのかは医師の判断が必要。

このような理由から、薬の中止は自己判断で行うことはせず、医師の指示の下で行うようにしましょう。

 

以上、「「もう高血圧の薬を中止してもいいのでは」と思ってしまった方へ」でした。

クリック⇩応援よろしくお願いします(^^♪

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です