前回、「高血圧患者は必見!塩分の摂取量はどこまで減らすべきか?」と言う記事を書きましたが、今回は減塩の効果には個人差があると言うことを書いていきたいと思います。
結論から言うと誰にも減塩が推奨されると言うことには変わりはありません。
これから詳しく解説していきます。
食塩感受性とは何か?
まずは、皆さんは「食塩感受性」と言う言葉をご存じでしょうか?
そんな難しい言葉を聞くといきなり眠くなってくるよwww
食塩感受性とは簡単に言うと、食べた塩分を体内に溜めておこうとする性質のことを言います。
つまり、食塩が尿などで体の外に排出されないと言うことは、体内に塩分がたくさん残ることとなり、結果的に血圧が上昇しやすくなるのです。
食塩を同じ量だけ食べても、血圧が上がりやすい人とそうではない人がいるんだ。
上がりやすい人は損だね。
この食塩感受性は、以下のような特徴があります。
- 遺伝する傾向がある
- 肥満である場合、食塩感受性となりやすい
- 加齢とともに傾向が強まる
- 男性よりも女性で傾向が強まる
- 欧米人と比べると、日本人は食塩感受性となりやすい
- 腎機能が低下している場合は、食塩感受性となりやすい
自分の性別や日本人であることも、親が食塩感受性高血圧ってのも避けられないもんだし・・・。
これ、どうしようもなくない?
その上、食塩感受性高血圧になってしまうとリスクも大きいのです。
国立循環器研究センター腎臓内科の木村玄次郎氏らの調査によると、食塩感受性高血圧の方の場合、食塩感受性高血圧ではない方と比較すると、心臓の左室肥大(※1)や重い心臓病、脳血管障害(※2)を発症するリスクが2倍以上になると報告されています。
(※1 左室肥大とは、肺以外の全身に血液を送る機能を持つ左心室の壁が、高血圧症などが原因で厚く肥大した状態。左室肥大は狭心症や心筋梗塞、心不全などの原因となります。)
(※2 脳血管障害とは、脳梗塞や脳出血などのことです。)
予防や改善に役立つ情報が欲しいんだけど・・・。
食塩感受性のだいたいのイメージはできたかと思います。そこで、多くの方が思うことは「食塩感受性を下げようとする」と言うことだと思います。
しかし、先ほどペン太君が言っていた通り「食塩感受性」自体は、努力ではどうしようもない部分が大きいです。その上、現状で食塩感受性が低い方であっても将来的には食塩感受性が高まることも分かりました。
では、これに対して何もすることができずに食塩感受性が高まり、いずれ高血圧となることをただ待つしかないのでしょうか?この答えは、次の項目を最後まで読んで貰えれば分かります。
食塩感受性が低くても減塩をしておくことで将来的な高血圧リスクを下げることができる
冒頭の問題に戻りますが、食塩感受性が低い方であれば、減塩をしても無駄なのでしょうか?
これに関しては様々な意見があるかと思いますが、結論から言うと、私の見解は「No」です。なぜかと言うと、「食塩感受性が低い方はいれど全くない方などまずいない」と考えるからです。
北村記念クリニックの安東克之氏も、「食塩感受性は「あり」「なし」できれいに二分されるものではない」とおっしゃっています。
(※参考 日経ドラッグインフォメーション2017/4 P18)
もう少し分かりやすく説明してくれない?
分かりやすく説明すると、例えば、ある集団に一定量の食塩を一定期間与え続けたとしても、3%しか血圧が上昇しない人もいれば、15%も血圧が上昇する人もいると言うことです。この例から何が言いたいかと言うと、食塩感受性が低い場合でも3%は血圧が上昇すると言うことです。例え、少しであったとしても血圧が上がっていいと言うことはありませんよね。
そして、安東克之氏は、「患者ごとに食塩感受性の有無を臨床的な特徴から予測することは難しい。」ともおっしゃっています。
(※引用元 日経ドラッグインフォメーション2017/4 P18)
つまり、医師であっても診察において食塩感受性である方と、そうではない方を判断することは困難であると言うことです。
「なんとなく食塩摂っても血圧上がりにくい感じがするんだよな」みたいな感じで主観的な判断になるもんね。
上記をまとめると
- 食塩感受性が低い方でも食塩を摂取すれば血圧は上がる
- 食塩感受性が低いかどうかを客観的に判断することが難しい
このような理由で食塩感受性が低い方であっても減塩はすべきだと考えます。
また、先に述べたように食塩感受性は年齢とともに高まる傾向にあります。食塩感受性に関わらず早い段階から減塩をしておくことで、将来的に血圧が上昇するリスクを大幅に抑えることができます。
ちなみに、日本人は食塩感受性高血圧の方が多いため、その点でも減塩は重要です。
また、もう一つだけ付け加えておくと、慢性腎臓病を伴う高血圧患者では食塩感受性が高まっていることが多いです。つまり、慢性腎臓病を伴う高血圧患者では、減塩による血圧低下が大いに期待できます。
ご理解頂けましたでしょうか?
説明が難しくなってしまった部分もあるかと思いますが最後まで読んで頂きありがとうございました。
以上、「減塩の血圧を下げる効果には個人差がある!?」でした。