インスリン抵抗性が糖尿病を悪化!?インスリン抵抗性の原因とは

インスリン抵抗性、原因

糖尿病は以下のように定義されています。

糖尿病はインスリンの作用不足による慢性的な高血糖状態を主徴とする代謝疾患群である。

(引用元 「糖尿病治療の目標と指針 – 日本糖尿病学会」)

つまり、糖尿病はインスリンの作用・働きに異常をきたしている疾患であり、このインスリンの働きを改善することが必要不可欠です。

では、インスリンの働きはどのような点で効果減弱の原因となるのでしょうか?

インスリンの作用不足には、大きく2つのポイントがあり、今回はこの2つのポイントについて解説したいと思います。

スポンサーリンク


インスリンの働きを悪化させる原因は二つ

ペン太
血糖値を直接的に下げるのはインスリンだけだから、インスリンの働きが悪くならないようにすることが糖尿病の予防に繋がるんじゃないかなって思ったんだけど、どう思う?
JIN
インスリンの分泌障害である1型糖尿病の患者さんは別として、2型糖尿病の予防としてはとても重要な考え方だと思うよ!

インスリン分泌時の問題

インスリン分泌障害とは

まず、インスリンの働きが悪くなる原因として、膵臓のβ細胞から血糖上昇に見合う「インスリンを分泌することができているか」と言った点がポイントになります

次に、血糖が上昇するタイミングよりも「インスリンが分泌されるタイミングが遅れてしまう」と言う原因があります。

この2つのインスリンの分泌時の障害を、「インスリン分泌障害」と言います。

感染症で膵臓のβ細胞が破壊されて減少するなど、何らかの原因でβ細胞が減少したり、膵臓でインスリンを合成するときにトラブルが起きたりすることがありますが、これらが原因で膵臓のβ細胞からのインスリンの分泌量が低下してしまいます。

また、インスリンが膵臓のβ細胞から正常に分泌されている場合であっても、インクレチンの作用に問題がある場合は結果的にインスリンの分泌量の低下が起こります。

食後のインスリン分泌の約50%以上はインクレチンの作用によって行われており、インクレチンの作用が低下した場合は食後のインスリン分泌量が大きく低下すると考えられています。

また、食事を摂取し血糖上昇を感知した場合にはインスリンが分泌されますが、血糖上昇からインスリンが分泌されるまでには、膵臓のβ細胞において様々な過程を経ることになります。

この過程での異常は、主にインスリンが分泌されるタイミングが遅れてしまうことに関わってきます。
(インスリン分泌障害を対策するには亜鉛、高麗人参、ウコンなどがありますが、これらの詳細をここで書くと長々となるため、後日個別に投稿しようかなと思っています。)

ペン太
インスリン分泌障害がインスリンの働きを悪くすることは分かったんだけど、どうやったらそれを確認できるの?
JIN
インスリン分泌障害を確認するには、病院での検査が必要です。

インスリン分泌障害を判定する検査値

インスリン分泌指数(インスリン インデックス)

75gのブドウ糖を口から摂取し、その後30分後の血液中のインスリンの増加量を、血糖値の増加量で割った値で、食後のインスリン追加分泌の初期追加分泌がどの程度でているか判断する指標となります。

インスリン、空腹時、分泌

インスリンは空腹時には分泌されないの?2パターンのインスリン分泌

2019年9月8日

初期追加分泌は糖尿病の初期から低下してくることが多いため、この値により糖尿病の初期でも判断することができます。

インスリン分泌指数=⊿血中インスリン値(30分値―0分値)(μU/ml)/⊿血糖値(30分値―0分値)(mg/dl)

インスリン分泌指数が0.4未満で糖尿病型であると判定されます。
(糖尿病型については後日解説する予定です。おおざっぱに言うと糖尿病の疑いが強い方を指します。)

境界型糖尿病でもこの値が0.4未満の患者様では糖尿病に進展しやすいと言われています。
(境界型糖尿病とは、 糖尿病と正常との境界のタイプを指します。)

Cペプチド

Cペプチドとは、膵臓がインスリンを合成するときに一緒にできる物質です。

このため、Cペプチドを測定することで、どの程度膵臓がインスリンを合成することができているのか判定することができます。

以下の場合は、自身の膵臓が作り出すインスリンだけでは生命を維持することはできず、インスリン注射による治療が必要と判定されます。

  • 空腹時の血中Cペプチド値が0.5 ng/ml以下
  • 24時間尿中Cペプチド排出量(24時間ためた尿中のCペプチドの量)が20 μg/日以下
HOMA-β

空腹時の血糖と空腹時のインスリン値をもとに推定され、インスリン分泌がどの程度あるのか判定する指標となります。

正常値は40~60%とされ、30%以下の場合インスリン分泌が低下していると判定されます。

(ここに記載した検査項目に関しては、「糖代謝・インスリン抵抗性 代謝・内分泌領域 臨床試験事業 総合医科学研究所」「糖尿病の検査 – インスリン分泌能を測る検査 – Weblio辞書」を参考にしています。)

JIN
インスリンの働きを悪化させるものとして、インスリン分泌障害の他にインスリン抵抗性があります。
特に、2型糖尿病では重要なポイントです。

スポンサーリンク



インスリン抵抗性の問題

インスリン抵抗性とは

インスリンは、血液中のブドウ糖を筋肉や肝臓、脂肪組織などへ取り込むことにより血糖値を下げますが、このインスリンがしっかり分泌されているにも関わらず、十分作用しない状態を「インスリン抵抗性」と言います。

インスリン抵抗性もインスリンの効果を悪くする原因となります。

生活習慣が乱れると肥満になりやすくなりますが、この肥満の中でも「内臓脂肪型肥満」では、脂肪細胞から「アディポサイトカイン」と呼ばれる物質が分泌がされやすくなっています。

内臓脂肪型肥満とは

肥満タイプのひとつで、腹腔内の腸のまわりに脂肪が過剰に蓄積している状態。比較的男性に多くみられる。

(引用元 「内臓脂肪型肥満 | e-ヘルスネット 情報提供」)

アディポサイトカインとは

アディポサイトカイン(Adipo-cytokine)とは脂肪細胞から分泌される生理活性物質の総称であり、
~中略~
近年、生活習慣の変化によりメタボリックシンドロームの患者数が増加の一途をたどっているが、これらの物質はメタボリックシンドロームの発症において中心的な役割を果たしていると考えられており、注目を集めている。

(引用元 「アディポサイトカイン – Wikipedia」)

このアディポサイトカインの作用により、インスリン抵抗性の原因になると考えられています。

つまり、内臓脂肪型肥満では、アディポサイトカインが分泌されやすくなっており、アディポサイトカインの作用によりインスリン抵抗性が引き起こされ、血糖値が下がりにくくなり、糖尿病を発症しやすくなっているのです。
(インスリン抵抗性の原因は、アディポサイトカインの作用の他にインスリン受容体数の減少やインスリン拮抗物質の作用が関わっていると言われていますが、専門的で難解な分野となるため詳細は割愛させて頂きます。当サイトはあくまでも一般の方に分かりやすく理解してもらうことをモットーとしています。)

このため、2型糖尿病の発症にはインスリン抵抗性が関与していると言えます。

(インスリン抵抗性を改善する医薬品にはアクトス(ピオグリタゾン)と言うものがあります。似たような作用を示す健康食品はほぼないと思うのですが、インスリン抵抗性タイプの方に適した健康食品はあります。後日投稿予定です。)

ペン太
2型糖尿病では、インスリン抵抗性の原因となる内臓脂肪型肥満に注意すべきなんだね。
JIN
一般的に、女性では皮下脂肪がつきやすく、男性では内臓脂肪がつきやすいと言われています。
しかし、女性であれば安心して良いと言う訳ではありません。

インスリン抵抗性を判定する検査値

HOMA-R

インスリン抵抗性の簡便な指標としてよく使用されます。

空腹時血糖値が140mg/dl以下の場合、他のインスリン抵抗性の値とよく相関すると言われています。

早朝空腹時の血液中のインスリン値と空腹時血糖値から計算されます。

2.5以上の場合はインスリン抵抗性があり、1.6以下では正常であると判定されます。

ただし、インスリン治療中の患者様ではこの検査を使用することはできません。

血中インスリン値

通常、2型糖尿病の初期の段階では、血糖が高くなり過ぎているのを下げようとするため、血液中のインスリン値は高くなります。

早朝空腹時の血液中のインスリン値が15μU/mL以上であった場合は、明らかなインスリン抵抗性の存在が考えられます。

正常値は 2~10 μU/mLです。

75g経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)

75gのブドウ糖を口から摂取した後、60分後や120分後までの血糖値、尿糖、血中インスリン値などの経過を見ます。

2型糖尿病やその予備軍では、インスリン追加分泌のタイミングが遅れている場合が多く、ブドウ糖を摂取した30分後でのインスリン分泌量は低下していても、60分後や120分後でのインスリン分泌量は高くなることが多いです。

この場合、インスリン分泌はあるが血糖値が下がっていなければインスリン抵抗性が疑われます。

(ここに記載した検査項目に関しては、「糖代謝・インスリン抵抗性 代謝・内分泌領域 臨床試験事業 総合医科学研究所」「糖尿病の検査 – インスリン抵抗性を測る検査 – Weblio辞書」を参考にしています。)

スポンサーリンク


インスリンの分泌障害と抵抗性を両方悪化させる「糖毒性」とは

ペン太
前回、糖毒性ってものが出てきてたけど、これはインスリンの働きに関係があるものなの?
JIN
高血糖の状態が長期間続くと、「糖毒性」になりやすくなります。
糖毒性とは、血糖である血液中のブドウ糖が膵臓からのインスリン分泌を低下させたり、肝臓や筋肉、脂肪組織のインスリン抵抗性を増大させ、より高血糖にしてしまうのです。

糖尿病であると言うことは、糖毒性となりやすく、糖毒性になることで糖尿病が悪化しやすくなると言う悪循環を引き起こしやすくなります。

さらに、糖毒性になってしまうと、インスリン分泌障害とインスリン抵抗性の両方を悪化させることで、インスリンの作用を低下させます。

ブドウ糖は、私たちの身体にとってエネルギーの源となる必要な物資であるのと同時に、過剰にある状態では「毒」にもなりうるのです。

インスリン製剤以外の糖尿病治療薬では、膵臓のβ細胞からインスリン分泌を促すものがあります。

このような薬を長期間使用すると、膵臓のβ細胞は疲れてしまい、インスリンを分泌する能力が低下してしまうことで糖毒性の原因となります。

また、2型糖尿病では慢性的に血糖値が高くなっていることも多く、糖毒性を引き起こしていることもあります。

このように、既に糖毒性になってしまった場合は、膵臓に休養を与えインスリンを分泌する能力を回復させるために、インスリン製剤での治療に切り替えることで糖毒性を解除することができます。

ペン太
なるほど。
長い間血糖値が高くなっている人は要注意なんだね。

スポンサーリンク



人気の糖尿病ブロガーの記事をチェック!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

18 − 3 =