インスリンだけではない!血糖値をコントロールするホルモンとは?

前回、糖尿病患者や糖尿病の可能性を否定できない方がいかに多いか、またどのような世代に分布しているか解説し、糖尿病患者の平均寿命が延びていると言うことも解説しました。

糖尿病・患者数

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2019年9月6日

今回は、糖尿病のメカニズムの一部を知るために、食事から摂取した糖質はどのように利用され、どのように蓄えられるのか、また蓄えられた糖質はどのようなホルモンにより血糖値をコントロールされているのか解説したいと思います。

食事から摂取したブドウ糖は各臓器や組織で蓄えられる

食事で摂取した糖質は、胃や小腸で分解され、より小さな糖類へと分解され、その後小腸で吸収されます。

吸収された糖類は血液中に運び込まれ、肝臓でブドウ糖に代謝され、血液により全身へと運ばれます。

このブドウ糖は、人が生きていく上で必要不可欠なものであり、重要なものです。

体の全身の細胞は血液中からブドウ糖を取り込み、ブドウ糖からエネルギーを作り出します。

この時に、エネルギーとして利用されなかったブドウ糖は、肝臓や筋肉ではグリコーゲンとして、脂肪組織では中性脂肪として蓄えられます。

食事が摂れなかったり、運動により消費エネルギーが大きくなるなど、ブドウ糖が不足したときには肝臓や筋肉に蓄えられているグリコーゲンをブドウ糖に分解して利用したり、中性脂肪から分解された脂肪酸もブドウ糖の代替エネルギーとして利用されます。

タンパク質とエネルギーの関係

飢餓状態では筋タンパク質から分解されたアミノ酸もグルコースへと変換されエネルギー源となります。

つまり、飢餓状態が続くと筋肉の分解が進み、筋肉量が減少し、基礎代謝が低下します。

このため、運動中や運動後はタンパク質をしっかり補給すべきです。

食事から摂取したタンパク質はアミノ酸に分解され、門脈を通って肝臓に入り血清タンパクなどの合成に使われ、残りはアミノ酸プールに入ります。

アミノ酸プールも一定量を超えると、過剰分は分解されグリコーゲンや脂肪に変換されます。
(※参考 第3章 3-3:タンパク質代謝 | ニュートリー株式会社

ペン太
血糖値を上げないにタンパク質を増やしていたんだけど、タンパク質からも脂肪は合成されるってこと?
JIN
血糖値の上昇を抑える目的で、糖質の代わりにタンパク質を多めに摂取する「糖質制限」はもはや確立された食事療法であると言えます。
血糖コントロールを行う上で非常に有効な手段であることは間違いありません。
しかし、過剰に摂取したタンパク質は体内で脂肪に変換されることもあることを知っておきましょう。
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血糖は生命維持に欠かせない

血液中のブドウ糖のことを「血糖」と言い、血糖の濃度のことを「血糖値」といいます。

血糖は血液中から全身の細胞に取り込まれて、エネルギー源として利用されます。

ブドウ糖は主に脳や筋肉などで消費されますが、これは就寝中も継続して消費されます。

前述した通り、血糖は生命の維持に欠かせないものであり、血糖値が低下すると言うことは、生命の危険が迫っていると言えます。

健常な方であれば、この血糖値を常に一定の範囲内に保つように、血糖値を下げるホルモンや血糖値を上げるホルモンにより血糖調節が行われるようになっています。

ペン太
インスリンが血糖値を下げることは知っていたけど、その他にも血糖値を変動させるホルモンがあるのは知らなかった。
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血糖調節に使用されるホルモンとは

血糖値を調節するホルモンは、血糖を下げるホルモンと血糖を上げるホルモンに大きく分類されます。

血糖を下げるホルモン

インスリン

血糖値を直接的に下げるホルモンはインスリンのみです。

このため、インスリンの調節がコントロールできなくなると言うことは、体内でインスリンに代わるものがなく、薬がなければ命の危険があると言うことになります。

インスリンは膵臓のランゲルハンス島β細胞から分泌されますが、血液によって全身に運ばれます。

インスリンは、血液中のブドウ糖を筋肉や肝臓へ取り込むことにより、グリコーゲンの合成を促進し血糖値を下げます。

また、インスリンには、脂肪組織で脂肪が合成されるのを促進したり、肝臓のグリコーゲンがブドウ糖に分解されるのを抑えたり、ブドウ糖が放出されるのを抑える働きもあります。

インクレチン

インスリン以外にも直接的ではありませんが、間接的に血糖値を下げるホルモンがあります。

それは、「インクレチン」と呼ばれるホルモンで、このホルモンを利用した薬が近年開発され注目されています。

食事をとると小腸などの腸管から分泌され、膵(すい)臓のβ細胞を刺激してインスリンの分泌を促すホルモンです。

インスリンは血糖の細胞へのとりこみなどに働きますが、そのインスリンの分泌や作用が低下すると高血糖となり、やがて2型糖尿病をまねきます。

(引用元 「インクレチン | e-ヘルスネット(厚生労働省)」)

インクレチンは、血糖値が高いときのみに働くため、インスリンのように低血糖を起こしにくいと言われています。

血糖を上げるホルモン

血糖値を上げるホルモンは様々なホルモンがあります。

睡眠中もエネルギーは消費されており、血液中の血糖値は維持されていなければならないため、血糖を上昇させるホルモンは睡眠中も分泌されています。

グルカゴン

グルカゴンは、すい臓のα細胞から分泌され、肝臓で蓄えられているグリコーゲンを分解し、血液中にブドウ糖として放出するよう働きかけたり、アミノ酸からブドウ糖を作り出すことを促進させるホルモンです。

グルカゴンの分泌は低血糖により促進され、高血糖により抑制されます。

カテコールアミン

カテコールアミンが過剰に分泌されると、脈拍が早くなったり、血圧が高くなったり、血糖値が高くなります。

主に肝臓から血液中にブドウ糖を放出させ血糖値を上げます。

アドレナリンやノルアドレナリン、ドーパミンなどがあり刺激が神経細胞を興奮させると分泌されます。

成長ホルモン

お子様に過剰に分泌されると、身長が高くなったり、血糖値を上昇させたりします。
(このため、成長ホルモンの注射薬は糖尿病患者に使用できないものもあります。)

大人になってから過剰に分泌されると、身長は伸びずに手足が大きくなったりします。

糖尿病では深夜から朝方にかけて血糖が上昇する「暁現象」が見られることがありますが、これは成長ホルモンの分泌が大きな要因と言われています。

コルチゾール

副腎と呼ばれる臓器から分泌されるホルモンで、過剰に分泌されると「クッシング症候群」と言う病気になったり、血糖値が上昇しやすくなります。

コルチゾールは、「副腎皮質ホルモン(ステロイド)」の一種である「糖質コルチコイド」の一種であり、ステロイドの過剰使用は血糖上昇や血圧上昇のリスクにもなります。

過剰なストレスなどで多量に分泌されます。

アルドステロン

副腎皮質から分泌されるホルモンの一種です。

アルドステロンが過剰に分泌されると、高血圧や筋力低下、足や手の麻痺、血糖上昇などが起こることがあります。

甲状腺ホルモン

甲状腺から分泌され、全身の代謝を上げる作用があります。

甲状腺ホルモンが過剰に分泌されると、手足の震え、汗をかきやすくなる、体重減少、高血糖が起こりやすくなります。

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まとめ

血糖コントロールをする各種ホルモンについて解説してきましたが、ご理解頂けましたでしょうか?

ペン太
血糖値をコントロールするホルモンって意外に多いんだね。
JIN
血糖値の上昇を抑えるために、インスリンのことばかり注目され勝ちですが、ストレスで分泌されやすいコルチゾールや、神経刺激により分泌されやすいカテコールアミンなどにも注意することで血糖値を安定させることができます。
ストレスを軽減させるには、漢方薬やサプリ、アロマも有効です。
ポイント
  1. 食事から摂ったブドウ糖の利用されなかった分は、肝臓や筋肉ではグリコーゲンとして、脂肪組織では中性脂肪として蓄えられる。
  2. ブドウ糖が不足したときには、肝臓や筋肉に蓄えられているグリコーゲンや、脂肪組織に蓄えられている中性脂肪などからブドウ糖を作り出す。
  3. 血糖は生命の維持に欠かせないものである。
  4. 血糖を直接的に低下させるホルモンはインスリンのみ、間接的に低下させるホルモンにインクレチンがある。
  5. 血糖を上げるホルモンは様々なものがある。

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