生理痛は女性にとっては、大きな悩みとなることがあります。
しかし、その場しのぎの鎮痛剤を継続服用するのはおススメではありません。
生姜は生理痛に効くのか
そんなのが痛みに効くんですか?
生姜は普段食べているものであり、それが「生理痛」に効くと言われても、にわかには信じられない方も多いかと思います。
生姜の生理痛に対する臨床試験データ
医薬品でも健康試験でも、有効性があるかどうかは臨床試験データにより判断されます。
そこで、生姜の生理痛に対する有効性についてどのような臨床試験データがあるのかご紹介します。
生理痛のある成人及び重大の女性が月経開始から3~4日間、生姜粉末500~2000mgを摂取すると、疼痛がわずかに緩和することが報告されている。
研究で用いられた用量は、生姜500mgを1日3回や、特定の生姜エキス250mgを1日4回などで、月経開始から3日間摂取した。
特定の生姜エキスは、医薬品のイブプロフェン(市販のイブA錠、エルペインコーワ、リングルアイビーα200など)やメフェナム酸(医療用のポンタール)と同様の効果があると報告されている。
イブプロフェンは毎日飲んでも大丈夫なのか
イブプロフェン製剤を生理痛や頭痛などで毎日のように飲んでいる方がいます。
なんですか、それは?
疼痛閾値の低下とは、簡単に言うと痛みの強さは変わらないのに、より痛みを敏感に感じ取ってしまい、結果的に痛みが強なったように感じてしまうことです。
痛みを抑えるために鎮痛剤を飲んでいると言うのに、より痛みを感じやすくしていると言う皮肉な現象が起こるのです。
(参考 痛み止め(鎮痛薬)ののみ過ぎ・乱用は頭痛のもと!?正しい薬ののみ方を解説 | NHK健康チャンネル)
その他、イブプロフェンなどのNSAIDsを長期で服用すると、胃が荒れやすくなったり、腎臓の機能が低下しやすくなります。
特に、腎機能障害は後で後悔しても手遅れです。
NSAIDsなどの服用などで起こる「慢性腎機能障害」は、基本的に一度悪くなると何をしても良くなることはありません。
年齢と共に低下していきやすいものなので、若年のうちに腎機能が低下してしまうようなことがあれば、中年期機能には重症の腎機能障害となる可能性が高くなり、生活に制限がかかったり、何か病気になった時に「医薬品が使えない」と言う事態が出てきます。
さらに、その先の「腎不全」となれば、「透析」が目の前に迫っていると言う状態です。
簡単に長期処方されるし、市販でも購入はできますが、イブプロフェンのような鎮痛剤は安易に長期で服用すべきではありません。
生姜のその他の有効性
生姜の吐き気に対する有効性
妊娠中の女性を対象とした研究のほとんどでは、早朝嘔吐への対策として、胎児への害を及ぼすことなく、生姜を安全に使用できることが報告されています。
妊娠中に生姜を摂取することにより、吐き気や嘔吐が緩和することがあるとされています。
ただし、この作用は吐き気止めの医薬品に比べると、効果が現れるまでに時間がかかり、効き目も弱いとされています。
生姜の変形性関節症に対する有効性
変形性関節症の患者が生姜を摂取すると、痛みが少し改善することが示されています。
ある特定の生姜エキスを1日4回、1回250mgで3か月間摂取したところ、膝の関節痛が緩和したと報告されています。
報告により効果にはバラつきがあります。
ある研究では、イブプロフェン1回400mg、1日3回の服用ほどは痛みは改善しなかったと言う報告があります。
しかし、別の研究では、生姜エキス1回500mg、1日2回の摂取が、イブプロフェン1回400mg、1日3回の服用と同程度に膝の痛みを改善したと報告されています。
生姜の冷え・肩こりに対する有効性
生姜に含まれる「ジンゲロール」と呼ばれる成分は、血管を拡張させ血流をよくする作用があります。
また、同様に含まれる「ショウガオール」と呼ばれる成分は、プロスタグランジンと呼ばれる「痛み」や「血管収縮」の原因となる物質の合成を抑制する作用があります。
これにより、血流が改善して冷えや肩こりが改善できると言われています。
生姜の安全性・副作用
ただ、人によっては、胸やけや下痢、一般的な胃部不快感などの軽度の副作用を起こす可能性があります。
小児に対する安全性
十代の女性が生理開始ごろに最長4日間摂取する場合には安全であると報告されています。
出血性疾患に対する安全性
生姜は出血を助長させる作用があるため、出血性疾患のある方にはお勧めできません。
また、生姜を摂取した女性数名に、過剰な月経出血が報告されています。
糖尿病に対する安全性
生姜により、インスリン値が上昇したり、血糖値が低下したりすることがあるため、糖尿病の治療を受けている方は医師に相談の元で摂取するか判断するようにして下さい。
もし、摂取する場合でも、血糖変動に対して慎重に対応できるようにしておかなければいけません。
心疾患に対する安全性
高用量の生姜を摂取した場合に、心疾患が悪化することがあると報告されています。
心疾患がある方は、高用量の摂取は控えるべきです。
妊婦・授乳婦に対する安全性
生姜を摂取した女性の胎児が奇形となるリスクも、一般的な割合と変わりありません。
早産や分娩時低体重のリスクが高まる事もないようです。
ただし、妊娠中に使用した女性が、妊娠12週に流産した例が1件のみですが報告されているため、かかりつけの医師に確認の上で摂取するようにして下さい。
また、生姜の摂取により、出血のリスクが高まるため、出産日近くに生姜を摂取することはお勧めではありません。
授乳中の生姜の摂取については、データが不十分ですのでお勧めできません。
生姜と医薬品や健康食品・サプリとの相互作用
医薬品との相互作用
ニフェジピン(アダラート)
生姜とニフェジピンを併用すると、血液をサラサラにする作用が強まり、出血しやすくなります。
血液をサラサラにする医薬品
ワルファリンカリウムやアスピリン、クロピドグレル、ジクロフェナクナトリウム、イブプロフェンなどは血液をサラサラにする作用がありますが、生姜も同様の作用があります。
これらの医薬品と生姜を併用する場合は、医師に相談の上で摂取し、出血しやすくなるようなことがあれば生姜を中止して下さい。
また、定期的に血液検査をするようにして下さい。
糖尿病治療薬
前述した通り、生姜はインスリン値を高め、血糖値を低下させる恐れがあります。
糖尿病治療薬と生姜を併用すると、血糖値が過度に低下する恐れがあるため、医師に相談の上で摂取するようにし、血糖値を注意深く観察するようにして下さい。
健康食品、サプリメントとの相互作用
血液をサラサラにする健康食品・サプリ
上記、同様です。
アンゼリカ、クローブ、タンジン、ニンニク、イチョウ、朝鮮人参、レッドクローバー、ウコンなどが該当します。
血糖値を低下させる作用のある健康食品・サプリ
上記、同様です。
デビルズクロー、フェヌグリーク、グアーガム、朝鮮人参、エゾウコギなどがあります。
生姜がおススメされる方と使用量の目安
以上より、「冷えがあって、生理痛でイブプロフェンなどを継続的に飲んでいる方」や「冷えがあって、変形性関節痛と診断され鎮痛剤を継続的に飲んでいる方」などには、生姜はおススメできると言えます。
使用量の目安
生理痛
生姜粉末1日1500mgを、最大3回までに分け、月経の2日以上前から、月経3日目まで摂取します。
変形性関節痛
様々な生姜エキス製品が試験に使用されており、用量は様々ですが、ある製品では1回170mgを1日3回摂取すると報告されています。
早朝嘔吐
生姜1日500~2000mgを2~4回に分け、3日~3週間摂取します。